私が手に入れたチンクエチェントこと「フィアット500C(FIAT500C)」。『オープンカーを買う』という夢を叶えた私がぜひとも行ってみたい「憧れのスポット」がありました。そのひとつが「霧ヶ峰」。
「ビーナスライン」をフルオープンで駆け抜けたい!気合の前乗りから一夜明けたその朝、ホテルの窓から見えた景色は「一面の霧」でした。さてどうなる!?
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霧はヨイヨイ雨粒コワイ
せっかく“前乗り“したのだから、交通量ガラガラなビーナスラインで走りを堪能したい!私は霧が晴れるのを待たず、出発することにしました。
ホテルの駐車場で愛車のエンジンを始動するや、すかさず幌を全開に。こうなれば、霧のミストすら胸一杯に吸い込んでやります。鳥の囀りに囲まれた自然の中、トコトコとツインエアエンジンの鼓動を響かせ、いざ出発です!
ところがです!
走り出して程なく、フロントウインドウに水滴が。霧(ミスト)じゃないです、雨粒です。
「あー、ソレはダメ!」
そんな私の呟きに反しまたたく間に雨は本降りに。たまらず幌をクローズです。
そうこうしている間に最初の目的地「白樺湖」に到着。やむを得ず持参の傘を差しクルマの外へ出て、自撮りで記念撮影をするものの、霧で視界は不良、雨粒で湖面は波紋で覆われ、さすがに笑顔も引きつります。まいりました。
いやマズイ、気を取り直さねば。山の天気と女心は何とかと言うじゃないですか。この先、霧ヶ峰へ向かう道中できっと雨はあがるに違いない(決めつけ)。クルマへ戻りハンドルを握った私は不気味な笑みを浮かべながらビーナスラインへ突入したのです。
さてビーナスライン、私が今回走るのは白樺湖から美ヶ原高原までの40kmですが、総延長距離は76kmもあるそうですよ。爽快な高原の中をアップダウンを繰り返しながら登っていくその道は、正に観て良し、走って良しのワインディングロード。オープンカーで駆け抜ければ「感じて良し」が加わる訳です!この三拍子、サイコーじゃないですか!
しかーし!走り始めたその道は霧で視界は真っ白。ペースはゆっくりとなる上、雨のせいで幌もクローズ。もったいない時間が流れていく事でフラストレーションも溜まってまいりました。
急にパっと天候が回復したりすることを期待しながら粛々と走り続けていたら、目の前に開けた場所が見えてきました。そこに立つ案内板には「道の駅 霧ヶ峰」の文字。
「あ、着いちゃった・・・」
何とも中途半端なテンションのうちに今回のメイン、霧ヶ峰高原に到着してしまいました。
とりあえず駐車場内に入っていくと広大なスペースに来訪者は私を含めほんの数台。ガラガラです。時刻は8:50。早い時間帯という事もあるでしょうが、霧が濃すぎて何も見えないこの天候では立ち寄る観光客も少ないのかもしれません。私も停車はしたもののエンジンを止めて外に出る気になりません。
「よし!霧ヶ峰完了!」
次へと頭を切替えます。続いての目的地は「美ヶ原高原」。霧ヶ峰高原の中でも名所中の名所。その道のりはココまでより道幅も狭く、カーブはキツく、緑の中を駆け抜ける「ザ・ワインディング」となります。
しかしすぐに出発できない。私はクルマを停めたまま再び幌を開けるべきか悩んでいたのです。気が付けば雨は霧雨になっていました。霧雨ならなんとかなるかもしれない。しかしいつまた本降りになるかわからない。どうしよう・・・。
と、その時。私の目の前を横切ったクルマが。2台のマツダロードスターが美ヶ原高原へとビーナスロードを駆け上がって行きました。それぞれ男性2名乗車で大きな口を開けて笑う表情が良く見えました。なぜなら彼らはフルオープンだったから!
「あー!何をやってるんだオレは!」
目が覚めました!霧雨なら迷わずフルオープンだろうがと!
さあ、幌を全開に!濡れて困りそうなものはトランクに!準備万端、改めて出発てす!
ビーナスラインでGT-Rの後ろを走る。
走り始めればさすがチンクエチェントC、霧雨程度ならばほとんど後方へ流れて車内への入り込みはたいして問題ありません。オープン走行により自然の“息吹き“が直接身体に伝わってきます。時折侵入してくる霧雨すら心地いい。やりました!サイコーです!
霧も所々で晴れているところもあり。交通量は狙い通りスカスカ。他のクルマに詰まることもなく、快調にワインディングロードを駆け抜けます。これこそ駆け抜ける喜び。霧の濃淡には注意しつつ、S字カーブやヘアピンカーブ、緩急様々なコーナーをクリアしていきます!ツインエアエンジンの鼓動とデュアロジックのフィーリングもサイコーです!
ニヤニヤしながらしばし走り続付けていると、前方の白い霧の中にうっすらと赤いテールランプが見えてきました。私が追いついてしまったそのクルマ。よく見れば丸目4灯。なんと日本が世界に誇る名車!GT-R(R35型)ではありませんか!
GT-Rといえば3.8リッターの大排気量。圧倒的トルクでこのくらいの登り坂で息切れするようなシロモノではないハズ。もちろん意図的にのんびり走っているのかもしれませんが、とはいえ0.9リッターのチンクエチェントが追いついてしまった・・・。
少しばかりの“快感“を感じつつ、しばらく日本の宝と言うべき名車GT-Rのおしりを眺めながら走ります(もちろん車間距離を充分に)。
後ろから観察していて気が付いたことがありました。GT-Rさん、自分の車幅を車線内に収めるために、ずいぶんと窮屈そうに走っています(ように見えます)。
ビーナスラインはセンターラインがしっかりひいてあって、いわゆる旧道のように対向車とのすれ違いに神経を尖らせる必要はありません。しかしその道幅は、車幅1.9m近いGT-Rが車線内で自由なラインを取れるほどの余裕はない。
それに引き換え、我がチンクエチェントの車幅はたったの1.6mちょい(1,625mm)。車幅に神経を使う必要が無いので身も心もラクチン!小さいってスバラシイ!
と、そんなこんなで楽しんでいたら到着しました「道の駅 美ヶ原高原」。こちらもミルキーな霧に包まれておりました。道を挟んだ美ヶ原高原美術館のオブジェを幻想的に映し出しております!
道の駅の駐車場はこの天候から想像できない大賑わい。時刻は10時を回ったところですが、オフ会的な集まりも含めて駐車場は満車に近い。さすが聖地ですね!
クルマを降りて道の駅の建物に入ると展望デッキ的な所に売店が。「そばおやき」と書かれた看板が目に入りました。ちょうど小腹がすいていたので、さほど味には期待せずノリで購入。ところが頂いてみたらコレが望外にウマかった!何なんでしょうか!高原の空気が調味料になったか?
うれしくなった私を展望デッキで熊さんが迎えてくれました。思わず記念撮影しましたよ。
満足した私は再びクルマに乗り込み、上ってきた道を下ります。もちろんフルオープンで!すると今度は後ろから迫るヘッドライト!思わず左側に寄せて先を譲りました。
私を追い越していったクルマは2台。何とホンダBEATとトヨタMR-2!“ネオクラシックカー“と言うのでしょうか。20年以上も前のクルマながら、上りで出会ったGT-Rとは比較にならないコンパクトさ故か、軽快にコーナーをクリアしていきます!スバラシイ!やはり日本の道にはこれくらいのサイズがいいですよね!私もチンクエチェントでしばらく食らいついていましたが、少しづつ離されてしまいました。ココは“腕“の差ですね、きっと。
いやはや、霧や雨もありましたが結果的には大満足。満喫しましたビーナスライン!ごちそうさまです!
風景もソフトもスバラシイ
ビーナスラインを下った私。次なる目的はソフトクリームです。昨日共に過ごしたチンクエチェント仲間からオススメしてもらったお店「牛乳専科もうもう」を訪ねます。
国道142号線を東へと進み、地名で言えば、長和町から立科町方面へ向かったのですが、この辺りの風景がサイコーでした!
ラッキーなことにお天気が回復した青空の下、道の両側に広がる木々は初夏を迎えた新緑でお抹茶のような濃厚さ。私の両目の奥深くまでビンビンに浸透してきます。あまりの気持ち良さに思わず「フォー!」と声を上げてしまいました!
爽快なドライブを経て到着した「牛乳専科もうもう」さん。人気店のようでお客さんもたくさんいらっしゃいました。その店構えは洋風のような和風のような独特の雰囲気。店の前に置かれたコーンが牛柄でほっこりしましたよ。
そして肝心のソフトクリーム。いやーもう「スゲーうまい!」。正確に表現できないので詳細は割愛しますが、とにかくウマイ!
あまりにウマイので、思わず留守番している妻と子供にテレビ電話してしまいました。ただ「ウマイ」と伝えるためだけに。当然のように一方的に見せつけられただけ妻からはクールに対応されました。
さて、身も心もヒンヤリした私。早く帰宅して育児に合流しなくてはと家路に就いたのでした。
帰り道は佐久から中部横断自動車に乗ることにしました。私、生まれて初めて佐久にお邪魔したと思います。いやー佐久もステキなところですねー!今回は素通りになってしまいましたが、機会があれば是非、ブラブラと滞在させていただきたいなと思いましたよ!
未だ訪れていないステキな所が、まだまだたくさんありそうです!それ即ち、人生まだまだ“楽しみしろ“がたくさんあるということ。ありがたい!満足感に充たされながら、高速道路に乗ったのでした。もちろん家までフルオープンで!
以上、夢のビーナスライン走破のご報告でした。今回の行程はビーナスラインにスコープを絞って計画しました。もちろんビーナスラインを堪能できましたし、“信州たてしな“の魅力をたくさん知れたことも収穫でした。
どちらかというと「海方面より」の私ですが、山方面の楽しさへ誘ってくれる私のオープンカー、チンクエチェントCに感謝です!ありがとう!